鍵の多すぎる世界。それは本当に「開ける」ための鍵なのか

サバイバルホラーゲームが大好きだ。でもゲームプレイ中、どうしても疑問に感じてしまうことがある。ゲームの世界観を現実世界に置き換えることが野暮でナンセンスなことは理解してるけれど、どうしても駄文に残しておかないと気が済まない。


サバイバルホラーゲームの世界では、鍵が異常に多い。
どこへ行くにも鍵、何をするにも鍵。

しかも、たいていの場合、専用の鍵がないと開かない。
どんなに危機的状況であっても、ドアを蹴破るとか、窓から入るとか、そういう発想はない。

「施錠されている」
「鍵が必要だ」

この一文が表示された瞬間、わたしは理解する。

「また鍵を探す旅が始まるのか…」

たとえば、こういう施設を想像してほしい。

・巨大な洋館
・病院
・研究所

どの施設も、やたらと鍵付きのドアが多い。
普通に考えてほしい。
緊急時に、鍵を開ける暇などあるのか?

現実世界でこれをやったらどうなるか?
もし、現実の病院がホラーゲームの病院みたいな設計だったとしよう。

救急患者が運ばれる。

「急患です!処置室へ!」
「しかし、処置室の鍵が見当たりません!」
「何!? どこにある!」
「院長室の机の上にあると聞いています!」
「院長室!? 院長は今、休暇中じゃないか!」
「ならば、院長室の鍵を探さねばなりません!」
「その鍵は?」
「霊安室です!」

患者が死ぬわ!!

しかも、鍵のデザインがいちいち特殊すぎる。

・「ハートの鍵」
・「カラスの紋章の鍵」
・「古びた鉄の鍵(用途不明)」

普通に番号キーとかにできないのだろうか。

わざわざドアごとに違う鍵を用意し、しかもその鍵を別の場所に隠しておくという謎仕様。
どうしてそんな面倒な管理をする必要があるのか?

たとえば、ある研究所ではこういうことが起こる。

「緊急事態発生!
 施設内のバイオ兵器が暴走!
 全員、避難してください!」

よし、逃げるぞ!と走り出した瞬間、目の前のドアに表示される一文。

「この扉は、Sランク職員専用キーでロックされています」

そんなものを設けるな。
全員避難するなら、むしろ鍵を撤廃しろ。

鍵の管理がずさんすぎるという問題もある。
専用の鍵が必要なわりに、その鍵の保管がめちゃくちゃ雑。

・トイレの個室のタンクの中
・遺体のポケット
・暖炉の奥(なぜ!?)

誰がこんなところに鍵を置いたのか。
鍵の管理担当者がいったい何を考えていたのか、全くわからない。

そして、ゲームが進むにつれて、プレイヤーのポケットには大量の鍵が詰め込まれる。

研究棟の鍵
研究棟西棟の鍵
研究棟地下室の鍵
研究棟地下室倉庫の鍵
研究棟地下室倉庫管理室の鍵
研究棟地下室倉庫管理室裏口の鍵
鍵!鍵!鍵!

そのあたりにいるゾンビの方がまだシンプルに生きてる気がしてくる。

鍵の意味とは何なのか?
なぜ、この世界にはこんなにも鍵が多いのか?

ひとつの結論として、こう考えることもできる。

この世界において、「鍵を持つ」という行為こそが、生存の証なのではないか?

・鍵を持つ者だけが、先へ進む権利を得る。
・鍵を見つけられない者は、そこで淘汰される。

このルールのもと、かつての住人たちは鍵を探し、鍵を奪い合い、鍵を抱えたまま死んでいったのではないか。

だからこそ、亡骸のポケットには鍵がある。
だからこそ、鍵を探すことが生存の条件となる。

鍵とは、単なる道具ではない。

この世界における、命のバトンなのだ。

…などと考えながら、わたしは今日も「ハートの鍵」を握りしめて扉を探すのであった。

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